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時空 解 さんの日記

 
2015
6月 14
(日)
23:20
物理学者の「重いから」と言う言葉は、とても重い。
本文

みなさん、こんにちは。
6月12日に放送された NHK 「宇宙白熱教室、第二回:物理学者の秘密のお仕事~物事を大ざっぱに捉える!~」を観ていて思った事があります。番組ではガリレオガリレイがピサの斜塔で実際に行なった、物体の自由落下に付いての説明をしていました。このピサの自由落下の実験はあまりにも有名です。聞いた事の無い方は殆どいらっしゃらないのではないかと思います。
「物体は、その質量の大きさに関係なく同じ速度で落下する」
この事は良く知られている事です。
しかし、講師であるローレンス・クラウス教授によると、講義に参加してくれる人達の半数近くが、自由落下の事を尋ねると、およそ間違えた解答をするのだそうです。
「本と紙を同時に手から離すと、実際には本の方が先に床に落ちます。どうしてでしょう?」

この問いに、多くの人が「それは本の方が重いからです」と答えるのだそうです。「これは実に嘆かわしい事だ」と、ローレンス・クラウス教授はおっしゃっていました。そして早く落ちる理由は、紙の方をグチャクヂャと丸めてみれば分かる、と説明を続けました。

本の方が早く床に落ちるのは空気抵抗のせいで、決して本の方が重いからではありません。しかし、その事を本当に知らずに「本の方が重いから」と受講生は答えたのでしょうか?もちろん本当に重いから本の方が早く床に落ちると思っている受講生の方も中にはいらっしゃったかも知れません。しかし大抵の方は空気抵抗のせいだと分かっているのではないでしょうか?私はこんな風に考えを巡らせたりします。つい「重い」と言う言葉を選択してしまったのではないか…。
「重いから(そのせいで空気抵抗に打ち勝って、本は)早く床に落ちる」と()の中を頭の中で省略している方も多くいるでしょう。
会話とは微妙なものだと思います。例えば世の中には夕方から作業が始まる職場に出勤する方たちがいらっしゃいますよね?その方たちは、夕方であっても職場に出勤される時には「おはようございます」と挨拶をしてもおかしくありません。「今は朝じゃないだろう」と言うのは屁理屈と言うものです。
しかし先程のローレンス・クラウス教授の話はどこかこの屁理屈に似ているようにも感じます。申し訳ありません、私が素直な気持ちで講義を聴いていないせいかも知れません。それにこんな事を言い出すと、物理学の話から、議論が言語学の話に変わってしまうかも知れませんね。

気をつけないといけないのは、言語表現を正しく行ってないと、いつしか間違った考え方に議論が変化してしまいかねない、と言う事です。
日常会話では「重い」と言う言葉にそれほど注意を払う必要は無いと思いますが、こと物理学では敏感で居なければならないでしょう。
「宇宙白熱教室、第二回:物理学者の秘密のお仕事~物事を大ざっぱに捉える!~」を観ていてそんな事を思いました。

ローレンス・クラウス教授が執筆した書籍があります。
・文芸春秋 「宇宙が始まる前には何があったのか?」訳者:青木薫
この本を読むのも楽しみです。


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