時空 解 さんの日記
みなさん、こんにちは。
今日は月に一度の読書会に参加してきました。毎月楽しい時間を過ごしています。また、とても勉強になりました。課題本は TUGUMI(つぐみ)でした。読書会に参加して、始めてこの小説の奥の深さを感じる事ができました。これは参加されたみなさんと楽しくお喋り出来たおかげです。
以前(1990年頃)読んだ時には分からなかった TUGUMI と言う小説の奥深さを感想として書いてみます。
主人公、まりあ のつぐみとの関わり、少女期の掛け替えのない思い出と儚さを描いてある作品である事は事実ですが、もう一つ、この作品には人生の壁を乗り越えるべく、自分自身の変革の実例を、つぐみの行動を通して描かれていると思いました。
社会人になって人間関係に悩まない人はいないでしょう。それとも今の仕事を一生の仕事として貫けるか?自分にはこの仕事が本当に合っているのか?などなど、若いうちは悩みがあって当然でしょう。
そんな悩みを解決する方法として、一つは自分自身の変革と言うものがあります。ご自身を取り巻く現実に合った人生哲学を再構築する・・・その姿を、つぐみは私たちに見せてくれます。
一つはつぐみが「お化けのポスト」と言う章で、毛筆の行書体で手紙を書き上げるところです。主人公 まりあ の祖父の筆跡を途方もない努力で真似て つぐみ は書くのです。その努力(命を削ってまでも行なった行動)が祟り、病弱だった つぐみ は入院してしまうのです。そしてこの後に つぐみ は人生で始めてと言える「まりあ、ごめん」を口にするのです。
もう一つは、「穴」と言う章に出てくるのですが、つぐみ が姉の陽子に「・・・ごめん」と、穴に人を落とした事を謝るのです。
この2つの「ごめん」は つぐみ の殆ど命を削る最大限の、陽の行動エネルギーと陰の行動エネルギーによって果たした行動の結果、もたらされた素直さなのです。「お化けのポスト」の "ごめん" のところで つぐみ と まりあ は仲良しになり、「穴」事件の後に つぐみ は "一枚ずつ葉が散ってくのが本気で怖しかった奴の気持ちが分かる" ようになります。そして、最後の手紙にも書いてあるように、"以前の つぐみ は死ぬ" と自ら言えるようになるのです。この死は「以前の、強がっていた自分自身 が死ぬのだ」と、私は想いました。
この作品は美しい少女時代の思い出と儚さがとても強烈に切り取られていて、その眩しさゆえに見逃してしまいますが、自分の運命を正面から受け止められずに、強がっていた つぐみ 。その苦しみをどう脱皮したのかも味わってみてください。
こんな感じですね。やはり映画化されるほどに深い作品です。
では今日はこの辺。
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