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時空 解 さんの日記

 
2021
6月 1
(火)
10:44
「三角関数の合成」を徹底理解。"三角関数の加法定理" と "恒等式の性質" と "三角関数の公式" を押さえて覚える
本文
皆さんこんにちは、時空 解です。

$ \sin \theta $ と $ \cos \theta $ を一つの三角比、例えば $ \sin $ のみとか $ \cos $ のみとかで表す方法として「三角関数の合成」と言うのがありますよね。
これは一つの数式に2つの三角比が入っていると扱いにくいので、一つにまとめるテクニックなのですが、なかなか覚えにくいです。
数学検定2級2次でも必衰のテクニックなのですが、いつも不安でした。

でも、今回初めてキッチリと理解したんです。ですのでその理解の流れをここに記しておきたいと思いました。

ではまず「三角関数の合成」がどんなものだったかを下記に示します。
三角関数の合成 (青チャート式数学II を参考にしています)
     $ a \textcolor{blue}{ \sin \theta } + b \textcolor{green}{ \cos \theta } = r \sin { ( \theta + \alpha ) } $
              ただし  $ \sin \alpha = \displaystyle \frac{b}{r} $,  $ \cos \alpha = \displaystyle \frac{a}{r} $,  $ r = \sqrt{ a^2 + b^2 } $
 

テストの時になると、$ \displaystyle \frac{ a }{ r } $ とか $ \displaystyle \frac{ b }{ r } $ のそれぞれどちらが $ \sin $ 側だったか $ \cos $ 側だったか不安になったりします。そうならないためにも、三角関数の合成を導けるよう頭の中を整理しました。

三角関数の合成をするために求めなくてはならないのは $ a \sin \theta + b \cos \theta = r \sin { ( \theta + \alpha ) } $ にある未知の定数

   $ r $ と $ \alpha $

です。そのためには3つのことがら

・三角関数の加法定理 : $ \sin { (\theta + \alpha) } = \sin{\theta} \cos{\alpha} + \cos{\theta} \sin{\alpha} $
・恒等式の性質    : $ a x^2 + b x +c = d x^2 + e x + f $  ならば  $ a=d $, $ b=e $, $ c=f $
・三角関数の公式   : $ \sin^2 \theta + \cos^2 \theta = 1 $

を利用します。

ではさっそくその使い方と変形をやってみましょう。
 
$ a \sin \theta + b \cos \theta = r \sin { ( \theta + \alpha ) } $

上式の右辺の未知数 $ r,~ \alpha $ を求めるために、まずは三角形の加法定理で展開すると

$ a \textcolor{blue}{ \sin \theta } + b \textcolor{green}{ \cos \theta } = r \cdot (  \textcolor{blue}{ \sin{\theta} } \cos{\alpha} + \textcolor{green}{ \cos{\theta} } \sin{\alpha} ) $
        $ = r \cos{\alpha} \cdot  \textcolor{blue}{ \sin{\theta} } + r \sin{\alpha} \cdot \textcolor{green}{ \cos{\theta} }$

ここで $ r,~\alpha $ は定数。上式は変数 $ \theta $ の恒等式なので係数はそれぞれ等しいから

$ a = r \cos{\alpha} $ …(1)
$ b = r \sin{\alpha} $ …(2)

が成り立つ。これより

$ \cos{\alpha} = \displaystyle \frac{ a }{ r } $
$ \sin{\alpha} = \displaystyle \frac{ b }{ r } $

また、(1),(2) より $ r $ は

$ a^2 + b^2 = ( r \cos{\alpha} )^2 + ( r \sin{\alpha} )^2 $
    $ = r^2 \cdot ( \sin^2 \alpha + \cos^2 \alpha ) $

と変形できる。ここで三角関数の公式 $ \sin^2 \theta + \cos^2 \theta = 1 $ より

    $ a^2 + b^2 = r^2 \cdot 1 $
         $ \therefore r = \sqrt{ a^2 + b^2 } $ …(3)

(3) を (1),(2) にそれぞれ代入して整理すると

$ \cos{\alpha} = \displaystyle \frac{ a }{ \sqrt{ a^2 + b^2 } } $
$ \sin{\alpha} = \displaystyle \frac{ b }{ \sqrt{ a^2 + b^2 } } $

これより $ \alpha $ が決定する。

こんな流れで覚えると間違いはないと思います。
まぁ三角関数の加法定理を忘れてしまったらどうしようもありませんけどね。汗

でも加法定理「シン・コス・コス・シン」を知らない方は少ないのではないでしょうか。
ちなみに、三角関数の合成を $ \cos $ に付いてもやってみました。

同じ流れで求めることができますよね。違いは加法定理に「コス・コス・マ・シン・シン」の方を使うだけです。

$ \cos{ ( \theta \pm \beta ) } = \cos{\theta} \cos{\beta} \mp \sin{\theta} \sin{\beta} $ …(複合同順)

青チャート式数学IIでは $ -\beta $ としていますので、こちらを使って三角関数の合成の導入部を示すと

$ a \sin \theta + b \cos \theta = r \cos { ( \theta - \beta ) } $

上式の右辺の未知数 $ r,~ \beta $ を求めるために、まずは三角形の加法定理で展開すると

$ a  \textcolor{blue}{ \sin \theta } + b \textcolor{green}{ \cos \theta } = r \cdot ( \textcolor{green}{ \cos{\theta} } \cos{\beta} + \textcolor{blue}{ \sin{\theta} } \sin{\beta} ) $
        $ = r \sin{\beta} \cdot  \textcolor{blue}{ \sin{\theta} } + r \cos{\beta} \cdot  \textcolor{green}{ \cos{\theta} }$

ここからはもう簡単ですよね。

ところで…

三角関数の合成のところでいつも疑問に想っていたのは、合成された結果 $ r $ の値がどうして $ \sqrt{ a^2 + b^2 } $ になるのか?
だったんです。

でも今回、この理由が $ \sin{90^\circ} = 1 $ と $ \cos{0^\circ} = 1 $ から、
・$ \sin $ と $ \cos $ が取る最大値には $ 90^\circ $ の差があること。
・$ \sin^2 \theta + \cos^2 \theta = 1 $ であること。

これを考え合わせる事で腑に落ちました。

では今日も休日を始めています。休日の充実こそ、人生の充実です。
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