TOP

Home  >  ブログ  >  時空 解  >  数学検定  >  数学検定の準1級1次に出題された「数値代入法」の問題

時空 解 さんの日記

 
2022
1月 11
(火)
16:02
数学検定の準1級1次に出題された「数値代入法」の問題
本文
皆さんこんにちは、時空 解です。

今日は「数値代入法」で解くのが良いであろう問題を扱ってみます。数検で出題された問題を、昨日のコメント欄に書き込んで頂けました。ここのブログの会員さんからです。
会員さまへ。問題を教えて頂きありがとうございます。いつも感謝しています。m( _ _ )m

さて、問題は数学検定の準1級1次に出題された問題だそうです。下記にそれを示します。
 
問題
次の等式が $ x $ について恒等式となるように、定数 $ a,~b,~c,~d $ の値を定めなさい。
   $ \displaystyle \frac{ 9 }{ (x-1)^2 \cdot (x+2)^2 } = \frac{ a }{ (x-1) } + \frac{ b }{ (x-1)^2 } + \frac{ c }{ (x+2) } + \frac{ d }{ (x+2)^2 } $

解答:$ a = \displaystyle - \frac{ 2 }{ 3 },~~b = 1,~~c = \frac{ 2 }{ 3 },~~d=1 $

この問題を「数値代入法」で解こうとした場合、まずは $ x $ にどんな値を代入して $ a,~b,~c,~d $ を求めて行くかが問題になります。
値を選ぶ時に基準になるのは

「計算がシンプルになるように選ぶ」
ですよね。

ではまず、与式を見通しの良い数式に変形しましょう。
   $ \displaystyle \frac{ 9 }{ (x-1)^2 \cdot (x+2)^2 } = \frac{ a }{ (x-1) } + \frac{ b }{ (x-1)^2 } + \frac{ c }{ (x+2) } + \frac{ d }{ (x+2)^2 } $

右辺の4つの項を左辺と共通の分母 $ (x-1)^2 \cdot (x+2)^2 $ にすると
   $ \displaystyle \frac{ 9 }{ (x-1)^2 \cdot (x+2)^2 } = \frac{ a(x-1)(x+2)^2 + b(x+2)^2 + c(x-1)^2(x+2) + d(x-1)^2 }{ (x-1)^2 \cdot (x+2)^2 } $   …(q)

両辺に $ (x-1)^2 \cdot (x+2)^2 $ を掛けて
   $ 9 = a(x-1)(x+2)^2 + b(x+2)^2 + c(x-1)^2(x+2) + d(x-1)^2 $   …(1)


これで「数値代入法」を利用できそうな数式に変形できました。ここまでて (q) の数式をみると $ x $ に $ 1 $ とか $ -2 $ を入れると $ 0 $ になるので、$ x $ の値にこれらを代入しても良いのかは気に成るところです。
ですが青チャート式数学IIの「基本例題17 分数式の恒等式」に載っている【検討】より、大丈夫なのだそうです。(1) の数式に付いて $ x = 1,~-2 $ ともに成立することがその理由とのことです。

さて、では $ x $ に代入する値ですが、とりあえず (1) の数式から $ x = -2,~1,~0 $ の3つ値は候補としてあがりますよね。でも求めたい定数は4つあります。$ x $ に代入する値も4つ必要なので、後1つを何にするかですが…。$ x = -1 $ くらいを代入してやればひとまず計算はラクそうですよね。

と言うことで $ x $ に代入する値は $ x = -2,~-1,~0,~1 $ としましょう。

数式 (1) にそれぞれ $ x = -2,~-1,~0,~1 $ を代入すると

   $ x = -2 $ の場合
   $ 9 = a(-2-1)(-2+2)^2 + b(-2+2)^2 + c(-2-1)^2(-2+2) + d(-2-1)^2 $
   $ 9 = d \cdot 9 $…(2)

   $ x = -1 $ の場合
   $ 9 = a(-1-1)(-1+2)^2 + b(-1+2)^2 + c(-1-1)^2(-1+2) + d(-1-1)^2 $
   $ 9 = a \cdot (-2) + b \cdot 1 + c \cdot 4 + d \cdot 4 $…(3)

   $ x = 0 $ の場合
   $ 9 = a(0-1)(0+2)^2 + b(0+2)^2 + c(0-1)^2(0+2) + d(0-1)^2 $
   $ 9 = a \cdot (-4) + b \cdot 4 + c \cdot 2 + d \cdot 1 $…(4)

   $ x = 1 $ の場合
   $ 9 = a(1-1)(1+2)^2 + b(1+2)^2 + c(1-1)^2(1+2) + d(1-1)^2 $
   $ 9 = b \cdot 9 $…(5)

を得る。

(2)(5) を連立方程式として解くと、定数 $ a,~b,~c,~d $ が求められます。まぁ直ぐに $ d $ と $ b $ は出て来ますので、(3) と (4) から残りの $ a,~c $ を求めるだけですけどね。

答:$ a = \displaystyle - \frac{ 2 }{ 3 },~~b = 1,~~c = \frac{ 2 }{ 3 },~~d=1 $

この問題は数学検定の準1級1次の問題ですから、答のみの解答で良いのですが、これが記述式の問題だったとしたら、次に続く確認の計算も必要となります。

・与式の右辺に $ a = \displaystyle - \frac{ 2 }{ 3 },~~b = 1,~~c = \frac{ 2 }{ 3 },~~d=1 $ を代入して、左辺と等しくなることを確認する。
   $ \displaystyle \frac{ 9 }{ (x-1)^2 \cdot (x+2)^2 } = \frac{ - \frac{ 2 }{ 3 } }{ (x-1) } + \frac{ 1 }{ (x-1)^2 } + \frac{ \frac{ 2 }{ 3 } }{ (x+2) } + \frac{ 1 }{ (x+2)^2 } $

             $ = \displaystyle \frac{ - \frac{ 2 }{ 3 }(x-1)(x+2)^2 + (x+2)^2 + \frac{ 2 }{ 3 }(x-1)^2(x+2) + (x-1)^2 }{ (x-1)^2 \cdot (x+2)^2 } $

両辺に3を掛けて

   $ \displaystyle \frac{ 27 }{ (x-1)^2 \cdot (x+2)^2 } = \frac{ -2(x-1)(x+2)^2 + 3(x+2)^2 + 2(x-1)^2(x+2) + 3(x-1)^2 }{ (x-1)^2 \cdot (x+2)^2 } $

分母を払って

           $ \displaystyle 27 = -2(x-1)(x+2)^2 + 3(x+2)^2 + 2(x-1)^2(x+2) + 3(x-1)^2 $
             $ = (x+2)^2 \{-2(x-1) + 3 \} + (x-1)^2 \{ 2(x+2) + 3 \} $
             $ = (x+2)^2(-2x + 5) + (x-1)^2(2x+7) $
             (以下省略)

1次検定の問題だとしても、検算の必要はありますからね。最後に $ a = \displaystyle - \frac{ 2 }{ 3 },~~b = 1,~~c = \frac{ 2 }{ 3 },~~d=1 $ を代入して両辺が等しくなる確認はした方がいいですね。

それにしても、計算するだけでも大変な問題です。やっぱり準1級1次 (計算技能) の問題ですね。

では今日も前向きに日々を過ごしています。
閲覧(3953)
コメントを書く
コメントを書くにはログインが必要です。
メインメニュー
ログイン
ユーザー名:

パスワード:



日記投稿者リスト
カレンダー
月表示
カテゴリー
にほんブログ村リンク