時空 解 さんの日記
2022
3月
11
(金)
20:56
本文
次に二項定理を利用した解法の肉付けに移ります。
まずは2項定理をちゃんと押さえていないと肉付けをしても理解が進みませんので、参考資料として右画像を示しておきました。
2項定理については、
・青チャート式数学IIの第1章 第1節:3次式の展開と因数分解、二項定理
のところで、基本事項として出て来ます。
シグマ記号を使った表現はされていませんが、シグマ記号を使った公式も下記に書いておきます。
$ \large{ (a+b)^n = \displaystyle \sum_{ r = 0 }^{ n } {}_n \mathrm{C}_r a^{n-r} b^r } $
さて、この二項定理を踏まえて、青チャート数学の重要例題55の別解を眺めてみましょう。
この別解の解法の着想は
・$ x^n - 1 $ から $ (x-1)^2 $ を括り出せれば、おのずと余りが出てくる
と言う点にあると思います。
設問 (1) は $ x^n - 1 $ を $ (x-1)^2 $ で割った余りを求めるものでありますからね。当然と言えば当然です。
でも、簡単には括り出せそうにないですよね。
そこで出てくるのが二項定理です。
合わせて $ x^n - 1 $ の式の一部分、$ x^n $ にだけ着目し、$ -1 $ は一旦、切り離す発想です。
まずは $ x^n $ を $ \{ (x-1) + 1 \}^n $ と変形し、2つの項にして $ (x-1) $ を作り出す発想が面白いですよね。
こうすることで二項定理で言うところの $ a $ と $ b $ にそれぞれ $ (x-1) $ と $ 1 $ を対応させられます。
では、$ x^n $ を $ \{ (x-1) + 1 \}^n $ として二項定理を適用してみましょう。
$ \{ (x-1) + 1 \}^n = \displaystyle \sum_{ r = 0 }^{ n } {}_n \mathrm{ C }_r (x-1)^{n-r} \cdot 1^r $
$ = ({}_n \mathrm{ C }_0 \cdot (x-1)^n \cdot 1^0) + ({}_n \mathrm{ C }_1 \cdot (x-1)^{n-1} \cdot 1^1) + ({}_n \mathrm{ C }_2 \cdot (x-1)^{n-2} \cdot 1^2) + \dotsm \dotsm + ({}_n \mathrm{ C }_{n-2} \cdot (x-1)^2 \cdot 1^{n-2}) + ({}_n \mathrm{ C }_{n-1} \cdot (x-1)^1 \cdot 1^{n-1}) + ({}_n \mathrm{ C }_n \cdot (x-1)^0 \cdot 1^n) $
$ = ( 1 \cdot (x-1)^n \cdot 1 ) ~~+ ( n \cdot (x-1)^{n-1} \cdot 1^1 ) + ({}_n \mathrm{ C }_2 \cdot (x-1)^{n-2} \cdot 1 )~+ \dotsm \dotsm ~+ ({}_n \mathrm{ C }_{n-2} \cdot (x-1)^2 \cdot 1) + \textcolor{green}{ ({}_n \mathrm{ C }_{n-1} \cdot (x-1) \cdot 1) + ({}_n \mathrm{ C }_n \cdot 1 \cdot 1) } $
ここまでくれば、$ (x-1)^2 $ で括り出せるのは、最後の2つ (緑色のところ) の項以外、全てだとわかるでしょう。
最後の項2つは
$ \textcolor{green}{ ({}_n \mathrm{ C }_{n-1} \cdot (x-1) \cdot 1) + ({}_n \mathrm{ C }_n \cdot 1 \cdot 1) } $
ですから、
$ \textcolor{green}{ (n \cdot (x-1) \cdot 1) + (1 \cdot 1 \cdot 1) } $
$ = nx -n + 1 $
と分かります。
最後に一旦切り離した $ -1 $ をくっつけると
$ nx -n +1 -1 = nx -n $
つまり
$ \textcolor{red}{ x^n -1 = (x-1)^2 \cdot Q(x) + ax + b } \dotsm $ (丸1)
に今までのことを適用すると
$ \textcolor{red}{ x^n -1 } $
$ = (x-1)^2 \{ 1 \cdot (x-1)^{n-2} \cdot 1 ) + ( n \cdot (x-1)^{n-3} \cdot 1^1 ) + ({}_n \mathrm{ C }_2 \cdot (x-1)^{n-4} \cdot 1 ) + \dotsm \dotsm + ({}_n \mathrm{ C }_{n-2} \cdot (x-1)^0 \cdot 1) \} + \textcolor{green}{ ({}_n \mathrm{ C }_{n-1} \cdot (x-1) \cdot 1) + ({}_n \mathrm{ C }_n \cdot 1 \cdot 1) } $
$ = (x-1)^2 \{ 1 \cdot (x-1)^{n-2} \cdot 1 ) + ( n \cdot (x-1)^{n-3} \cdot 1^1 ) + ({}_n \mathrm{ C }_2 \cdot (x-1)^{n-4} \cdot 1 ) + \dotsm \dotsm + ({}_n \mathrm{ C }_{n-2} \cdot (x-1)^0 \cdot 1) \} + nx - n $
$ \textcolor{red}{ = (x-1)^2 Q(x) + ax + b } $
と分かります。
これで答えが出て来ました。
チャート式の別解が、いまひとつ分かり難いのは
$ {}_n \mathrm{ C }_r = {}_n \mathrm{ C }_{n-r} $
の公式も臨機応変に、断りなく使っているからです。ですからこの公式が分かっていないと分かり難いと言う点もあるのだと思います。
いやぁ、今日の朝に投稿したかったのですが、なかなかどうして記事を書く事に時間が掛かってしまいました。
すみません。m( _ _ )m
ちょっと説明が長いかも知れませんが、ここまで読んでくださってありがとうございます。
では、今日はこの辺で。
まずは2項定理をちゃんと押さえていないと肉付けをしても理解が進みませんので、参考資料として右画像を示しておきました。
2項定理については、
・青チャート式数学IIの第1章 第1節:3次式の展開と因数分解、二項定理
のところで、基本事項として出て来ます。
シグマ記号を使った表現はされていませんが、シグマ記号を使った公式も下記に書いておきます。
$ \large{ (a+b)^n = \displaystyle \sum_{ r = 0 }^{ n } {}_n \mathrm{C}_r a^{n-r} b^r } $
さて、この二項定理を踏まえて、青チャート数学の重要例題55の別解を眺めてみましょう。
別解 解答
(1) 二項定理の利用。
$ x^n - 1 = \{ (x - 1) + 1 \}^n - 1 $
$ = {}_n \mathrm{ C }_n (x-1)^n + \dotsm + {}_n \mathrm{ C }_2 (x-1)^2 + {}_n \mathrm{ C }_1 (x-1) + 1 - 1 $
$ = (x-1)^2 \{ (x-1)^{n-2} + \dotsm + {}_n \mathrm{ C }_n \} + nx - n $
ゆえに、余りは $ nx - n $
この別解の解法の着想は
・$ x^n - 1 $ から $ (x-1)^2 $ を括り出せれば、おのずと余りが出てくる
と言う点にあると思います。
設問 (1) は $ x^n - 1 $ を $ (x-1)^2 $ で割った余りを求めるものでありますからね。当然と言えば当然です。
でも、簡単には括り出せそうにないですよね。
そこで出てくるのが二項定理です。
合わせて $ x^n - 1 $ の式の一部分、$ x^n $ にだけ着目し、$ -1 $ は一旦、切り離す発想です。
まずは $ x^n $ を $ \{ (x-1) + 1 \}^n $ と変形し、2つの項にして $ (x-1) $ を作り出す発想が面白いですよね。
こうすることで二項定理で言うところの $ a $ と $ b $ にそれぞれ $ (x-1) $ と $ 1 $ を対応させられます。
では、$ x^n $ を $ \{ (x-1) + 1 \}^n $ として二項定理を適用してみましょう。
$ \{ (x-1) + 1 \}^n = \displaystyle \sum_{ r = 0 }^{ n } {}_n \mathrm{ C }_r (x-1)^{n-r} \cdot 1^r $
$ = ({}_n \mathrm{ C }_0 \cdot (x-1)^n \cdot 1^0) + ({}_n \mathrm{ C }_1 \cdot (x-1)^{n-1} \cdot 1^1) + ({}_n \mathrm{ C }_2 \cdot (x-1)^{n-2} \cdot 1^2) + \dotsm \dotsm + ({}_n \mathrm{ C }_{n-2} \cdot (x-1)^2 \cdot 1^{n-2}) + ({}_n \mathrm{ C }_{n-1} \cdot (x-1)^1 \cdot 1^{n-1}) + ({}_n \mathrm{ C }_n \cdot (x-1)^0 \cdot 1^n) $
$ = ( 1 \cdot (x-1)^n \cdot 1 ) ~~+ ( n \cdot (x-1)^{n-1} \cdot 1^1 ) + ({}_n \mathrm{ C }_2 \cdot (x-1)^{n-2} \cdot 1 )~+ \dotsm \dotsm ~+ ({}_n \mathrm{ C }_{n-2} \cdot (x-1)^2 \cdot 1) + \textcolor{green}{ ({}_n \mathrm{ C }_{n-1} \cdot (x-1) \cdot 1) + ({}_n \mathrm{ C }_n \cdot 1 \cdot 1) } $
ここまでくれば、$ (x-1)^2 $ で括り出せるのは、最後の2つ (緑色のところ) の項以外、全てだとわかるでしょう。
最後の項2つは
$ \textcolor{green}{ ({}_n \mathrm{ C }_{n-1} \cdot (x-1) \cdot 1) + ({}_n \mathrm{ C }_n \cdot 1 \cdot 1) } $
ですから、
$ \textcolor{green}{ (n \cdot (x-1) \cdot 1) + (1 \cdot 1 \cdot 1) } $
$ = nx -n + 1 $
と分かります。
最後に一旦切り離した $ -1 $ をくっつけると
$ nx -n +1 -1 = nx -n $
つまり
$ \textcolor{red}{ x^n -1 = (x-1)^2 \cdot Q(x) + ax + b } \dotsm $ (丸1)
に今までのことを適用すると
$ \textcolor{red}{ x^n -1 } $
$ = (x-1)^2 \{ 1 \cdot (x-1)^{n-2} \cdot 1 ) + ( n \cdot (x-1)^{n-3} \cdot 1^1 ) + ({}_n \mathrm{ C }_2 \cdot (x-1)^{n-4} \cdot 1 ) + \dotsm \dotsm + ({}_n \mathrm{ C }_{n-2} \cdot (x-1)^0 \cdot 1) \} + \textcolor{green}{ ({}_n \mathrm{ C }_{n-1} \cdot (x-1) \cdot 1) + ({}_n \mathrm{ C }_n \cdot 1 \cdot 1) } $
$ = (x-1)^2 \{ 1 \cdot (x-1)^{n-2} \cdot 1 ) + ( n \cdot (x-1)^{n-3} \cdot 1^1 ) + ({}_n \mathrm{ C }_2 \cdot (x-1)^{n-4} \cdot 1 ) + \dotsm \dotsm + ({}_n \mathrm{ C }_{n-2} \cdot (x-1)^0 \cdot 1) \} + nx - n $
$ \textcolor{red}{ = (x-1)^2 Q(x) + ax + b } $
と分かります。
これで答えが出て来ました。
チャート式の別解が、いまひとつ分かり難いのは
$ {}_n \mathrm{ C }_r = {}_n \mathrm{ C }_{n-r} $
の公式も臨機応変に、断りなく使っているからです。ですからこの公式が分かっていないと分かり難いと言う点もあるのだと思います。
いやぁ、今日の朝に投稿したかったのですが、なかなかどうして記事を書く事に時間が掛かってしまいました。
すみません。m( _ _ )m
ちょっと説明が長いかも知れませんが、ここまで読んでくださってありがとうございます。
では、今日はこの辺で。
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