時空 解 さんの日記
みなさん、こんにちは。
今日は今週末に参加する読書会の課題本を読んでみたいと思います。
課題本はショート・ショート作家の大御所、星新一さんの「ボッコちゃん」です。この文庫本こそが私に小説の楽しさを教えてくれた書籍です。漫画の本は人並みに好んで読んでいましたが、小説となると勉強の延長のようなイメージを持ってしまい、楽しむものと言う認識を持てなかった中学生の私でした。
しかしショート・ショートは別物でした。また星新一さんの「ボッコちゃん」は短いのみならずオチがとても楽しみに出来る、と言うところがありました。マンガ、藤子・F・不二雄さんの「ドラえもん」、「パーマン」、「お化けのQ太郎」と同じように短い中にスッキリとして完結性があり、しかも子供対象の内容ではなく、大人が楽しめる内容です。
中学時代にワクワクしながら読んだ「ボッコちゃん」を、今回、読書会の課題本として再び読む機会が訪れました。
今日は一つ一つ味わって読んでみたいと思います。一つ一つ感想も書いてみたいと思います。
<悪魔>
- 色の黒い小さな男で、耳がとかっていて、しっぽがあった。-
上記の一文が、第1作目、「悪魔」と言う作品の中に出てくる悪魔の姿形を現した文章です。私が持っている悪魔の容姿そのものです。きっと私はこの作品を通して、悪魔の容姿を頭の中に記憶したのかも知れません。それほどに中学生だった私に印象強く残っている作品です。オチは単純なものですが、その作り方が中学生にも分かる明快さで読者をニヤリとさせます。
<ボッコちゃん>
この作品が、この書籍の題名になっていた事は記憶にありませんでした。
この作品を始めて読んだ時には、「これって、どんなオチ?」と、作品の内容を理解できない私でした。この作品のオチは、姉に教えて貰って理解した私でしたが、今読み返してみると、なんだか切ないですね。
<おーい でてこーい>
この作品は、星新一さんの作品の中でも大好きな作品の一つです。何せ、そのオチの衝撃は今でも忘れません。40年前に読んだ作品とは言え、今日読んでみても、その文章の一つ一つを思い出す程に、何度でも読み返して、そのオチを味わった作品です。
<殺し屋ですのよ>
視点を変えると、また世界が違ってくる・・・そんな考え方を教えてくれるのがこの作品。ヘタな推理小説を読むよりも、この作品一つを読んだだけで、推理小説の楽しみを理解できるのかも知れない、そんな作品です。
<来訪者>
テレビ東京で放送されている「YOU は何しに日本へ?」と言う番組がありますが、その番組を見て楽しんでいる自分を思い描く作品です。40年前に既にこんなオチを考えだす発想があったのですね。これは凄い事なのでしょうか?それともテレビ業界では、基本的な思考回路なのでしょうか?いろいろと考えさせられる作品です。
<変な薬>
この作品は、ちょっとオチの切れに欠けます。作品の中に出てくるような薬があったら便利なのになぁ、と、そんな想いを抱く方たちは多いと思いますが。それほどに世の中は生きて行きにくいかも知れません。
<月の光>
- ペット。それは十五歳の混血の少女だった。-
中学生だった私でも、この一文にハタと頭を傾けた記憶があります。そしてこの作品のイメージは、二十代、三十代の私の心の中にいつも残っていました。始めて読んだその時には、作品の内容の深さを理解する事はできませんでしたが、50歳を過ぎて改めて読んでみて、少なからず言葉と言う物にたいする大きな問題提起をせまる作品にも読めます。また、別の角度からみると人に注ぐ愛情方法のどれを本当の愛と呼ぶのか、監禁と呼ぶのか、考えさせられる話です。「自立できるように育てる」。盲目的になると、そんな当たり前の事も分からなくなってしまうのかも知れません。
<包囲>
日本の人口が 約1億2千7百万人くらいですので、「包囲」に出てくる主人公(名前は出てきません、そこがまた怖いところ?)は、自分を殺そうと企む人間までたどり着く事は不可能だと計算できます。2の27乗と言う数字を計算すると、134217728 となります。1億3千4百22万と言うところです。この作品の発想はどこから来たのでしょうかね?法律的に禁じられている"ねずみ講"と言う手法がありますが、それをサスペンス作品に仕上げるセンスは抜群だと感じる作品です。
今日はこんなところで止めておきます。50作ありますので、この後の作品はまた明日以降に…
では今日はこの辺で。
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