時空 解 さんの日記
みんさん、こんにちは。
今日も読書会の課題本、星新一さんの「ボッコちゃん」を読んでいます。その感想を書いてみたいと思います。前回は50作品のうちの始めの8作品まで感想を書きましたので、今日は続きの9作目から書いてみたいと思います。
<ツキ計画>
壮大な人類の宇宙計画の一環として行われているツキ計画…動物の能力を人間の物にして、それを宇宙進出に利用しようと言う計画です。"なまけもの"の能力を長い宇宙の旅をイライラせずに過ごす能力に使うアイデアなど、1970年代に考え出されたアイデアとは思えないほど現代の宇宙開発の取り組みと同じレベルの内容がそこにみて取れます。そんなこの作品、最後のオチがなんともコミカルで面白い。子供だましのオチとも言えるがみなさんはどう思われるでしょうかね?
<暑さ>
暑いと言う、この鬱陶しさをサスペンスチックに描いた作品。今年の夏は特に猛暑でしたのでこんな人が現実に町を歩いているのかも知れないと思うとちょっとゾッとする作品。そしてこれは他人事ではなく、自分の心の中に潜む恐怖かも知れません。
<約束>
宇宙人と約束を交わした地球の子供たち。宇宙人は律儀にその約束を再び地球に訪れ、叶えてくれる事になるのですが…。地球の子供たちが宇宙人に願ったお願いとはどんな事なのか?この作品は子供から大人へと成長する段階で経験する変化を、宇宙人をうまく使って簡素に皮肉っています。
<猫と鼠>
この作品も、中学の時に読んだ記憶が残っていて、オチがわかっていました。それほど印象に残っている作品の一つだと言う事です。しかし今読み返してみても、その緊迫感にワクワクする自分を感じる楽しい作品です。
<不眠症>
私が生まれて始めてちゃんと不眠症と言う言葉を覚えたのが、何を隠そう中学の時にこの作品を読んだ時に事です。この作品も私に大きな影響を与えている作品の一つです。不眠不休で働くと言う言葉もありますが、大人になってこんな事が起きたらとても嫌だなぁ、とふと思わされた作品です。
<生活維持省>
この作品のストーリーは SF 作品の定番と言った感じのストーリー作品です。カーク船長やミスター・スポックが出ているスター・トレックの中でも、この生活維持省のようなシステムで戦争の死者を選定している惑星が出てきます。(第23話:コンピューター戦争) しかしこのシステムに作品に出てくる主人公のように素直に従えるものなのでしょうかね?考えさせられます。スター・トレックの方の結末としては、このシステムのメイン機械、分解マシーンは破壊される。
<悲しむべきこと>
サンタクロースを題材に、よくもまぁこんなストーリー展開の作品を描けるものだと感じます。悲しむべきこと、それが何の事かは作品を読んで頂ければ分かる事であるが、子供に夢を与え続けているサンタさんの実態は、実際このような物なのかも知れません。
<年賀の客>
孫をまだ持った事のない私では、この作品の本当の意味を理解できないのかも知れません。が、中学時代に読んだときも、そして今読んでみてもこの作品のオチは私に取ってちょっと詰まらないものです。
<ねらわれた星>
この作品は星新一節が良く現われている作品の一つだと思います。視点を変える事でこんなにも物事の感じ方、考え方が変わると言う事を実感させられる一作品です。
<冬の蝶>
未来世界を描いた作品も星新一さんの作品の中には良く出てくるモチーフです。そして、その未来はいつも悲観的な未来像である事が多いのですが、この作品も例外ではありません。ペットとして家に飼っているサルのモンの様子を対比として描きながら、便利すぎた生活で過ごす人間の無力さを表現している作品です。
<デラックスな金庫>
この作品は軽いオチの作品だと思いますが、さて、みなさんはどうお感じになるのでしょうか?私には何か思い入れのある品物と言う物は所有した事がありませが、お持ちの方に取っては、この作品はどう写るのでしょうかね。
<鏡>
この作品は、この書籍「ボッコちゃん」の中でも完成度の高い作品の一つだと思います。作品のオチと言い、描かれている内容と言い、人の心の闇を巧みに表現し、そら恐ろしい気持ちにさせられます。
<誘拐>
自分の子供が誘拐された、と言う状況から作品は始まります。とても引き付けられる話の出だしなのですが、残念ながらこの作品のオチはいまいちだと私は感じました。星新一さんは1001作品のショート・ショートを残しているとの事ですが、この作品はその中でも出来としては下の評価を受ける作品だと思います。
<親善キッス>
中学生の時に読んだ時には、この作品の面白さ、オチは理解できなかった。今になってみるととても面白い気がする。地球から宇宙に飛び立ち、地球外生命体の文明に触れる。その設定の中で、人間のずうずうしさと、その報いをコミカルに表現出来ている作品だと感心した。
<マネー・エイジ>
私にはとても書けないであろう1作。そもそもこの作品の世界観が理解できない。私はお金に付いてこだわりをあまり持った事が無いし、ワイロ的なお金、例えばチップなどに対しては良い印象を持っていないのが本音である。ましてやこの作品のように特殊な世界観にはとても付いてゆけないが、こんな世界(国?)があっても不思議ではないのかも知れない。
<壮大な計画>
学生から社会人になった時に改めて頭の中で思い出していた作品。子供心に「会社で働くとはどういう事か?」と言う問いに対する一つの考え方を提示してくれている。この主人公、三郎さんにとっての「仕事とは何か?」と言う考え方は出てこないが、人生、案外こんな気持ちの上に立って人は行動を決めているのかも知れない。
<人類愛>
中学生が読んでもこの作品は「ははは、そんなもんかな」と想うだけだが大人になって実体験している方が読んだら、果てしてどう感じるだろうか?主人公の仕事の内容が宇宙救助隊なので共感する事に少し抵抗があるかも知れないが、これが災害地の救助活動時の事としたらどうだろうか?やはり人は自分の奥さんに手を出した隣人を救助する気になるだろうか?意見が分かれるところだと思う。星新一さんもこの作品は、数をたくさん書かなくてはならない状況下で書き上げた1作であろう。
<ゆきとどいた生活>
未来の生活の1コマが描かれている作品。現在のインターネット時代到来からすると、その未来像はいささかずれた物ではあるが、四十年ほど前に考えられた未来像となると、やはり一つの典型的な未来像だとおもいます。中学時代の私も、大人になったらこんな未来が待っているのかと、便利だが不便な社会の実態を想像したものです。
<闇の眼>
事実を明かす順番を変えて一つの物語を書き進めて行く作品。星新一さんの作品にはこの手法が時々使われている。子供をもつ両親の気持ちを先に書き出して、どうして両親が子供に対して特別な行動、態度を取っているのか、そんな事を読者の興味をそそって行く。最後に子供の特殊性が明かされるのだが、その特殊性はあまり大した事ではないと私は感じる。このオチはそれほど切れは良くない。しかし中学生だった私に取っては結構衝撃的だったらしく、この作品は記憶にくっきりと残っていた作品の一つである。
<気前のいい家>
オチの切れのいい作品の一つ。話の流れ全体が最後のオチに流れている気がします。こんな作品が書けるようになったら一流でしょう。
<追い越し>
子供だましの作品だと思うが、たくさんのショート・ショートを書かなくてはならない立場になれば、こんな作品も発表して行かなくてはならないとも思う。それに、決して詰まらない作品ではない。人間は罪悪感を持って平常に生きては行けない生き物なのだという事をうまく表現出来ていると言えなくもない作品だと思います。
さて、今日はこの辺にしておきましょう。ではまた明日にでも。
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