解答
1. f⁻¹(x) を求める
$f(x)=x^2-2x+k=(x-1)^2+k-1$ ($x\ge 1$)
この範囲で $f$ は単調増加であり、値域は $y\ge k-1$ である。
$y=(x-1)^2+k-1$ を $x$ について解くと、$x\ge 1$ より
$$x-1=\sqrt{y-k+1},\qquad x=1+\sqrt{y-k+1}$$
よって
$$f^{-1}(x)=1+\sqrt{x-k+1}\quad(x\ge k-1)$$
2. 共有点は直線 $y=x$ 上にあることを示す
$f$ は $x\ge1$ で単調増加であり、単調増加関数の逆関数もまた単調増加である。
いま点 $(a,b)$ が $y=f(x)$ と $y=f^{-1}(x)$ の共有点であるとすると
$$b=f(a),\qquad b=f^{-1}(a)$$
後者は $a=f(b)$ を意味する。したがって
$$b=f(a),\qquad a=f(b)$$
ここで $a\ne b$ と仮定し、一般性を失わず $a<b$ とすると、$f$ は増加関数だから
$$f(a)<f(b)\ \Longrightarrow\ b<a$$
となり矛盾する。よって $a=b$ でなければならない。
すなわち、$y=f(x)$ と $y=f^{-1}(x)$ の共有点は、必ず直線 $y=x$ 上にある。
(逆に、$f(a)=a$ を満たす点 $(a,a)$ は $f^{-1}(a)=a$ も満たすので、確かに両方のグラフ上にある。)
3. 方程式 $f(x)=x$ を解く
共有点の個数は、$x\ge1$ における方程式
$$f(x)=x \iff x^2-2x+k=x \iff x^2-3x+k=0 \quad (x\ge1)$$
の異なる実数解の個数に一致する。
$g(x)=x^2-3x+k$ とおく。求める条件は「$g(x)=0$ が $x\ge1$ の範囲に異なる2つの実数解をもつこと」である。
$g(x)$ は下に凸な放物線で、軸は $x=\dfrac{3}{2}$(これは常に $1$ より大きい)。
したがって条件は次の3つ:
(i) 判別式 $>0$
$$D=(-3)^2-4k=9-4k>0 \iff k<\frac{9}{4}$$
(ii) 軸 $\ge 1$
$$\frac{3}{2}\ge1 \quad(常に成立)$$
(iii) $g(1)\ge 0$
$$g(1)=1-3+k=k-2\ge0 \iff k\ge2$$
4. 結論
以上 (i)〜(iii) より
$$\boxed{2\le k<\dfrac{9}{4}}$$
検算: $k=2$ のとき $g(x)=x^2-3x+2=(x-1)(x-2)=0$ より $x=1,2$(ともに $\ge1$ で異なる2点)となり成立を確認できる。
☆ 画像2
いい質問です。ここは「逆関数の定義」を正しく理解していないとつまずくポイントです。
前提:逆関数の定義そのものに戻る
$y=f^{-1}(x)$ という式は、定義そのものが
$$y=f^{-1}(x) \iff x=f(y) \ \text{かつ}\ y\in(f\text{ の定義域})$$
という意味です。つまり「$f^{-1}$ に $x$ を入れたら $y$ が出てくる」ということは、逆に言えば「$f$ に $y$ を入れたら $x$ が出てくる(かつ、その $y$ はもともと $f$ に代入してよい値でなければならない)」ということです。
ポイント:定義域の制限は「文字 $x$」につく制限ではない
$f(x)=x^2-2x+k$ に対して「$x\ge1$」という制限は、文字 $x$ に対する制限ではなく、「$f$ に代入する値」に対する制限です(そもそも $f$ を単調増加にして逆関数を持たせるために、人為的に定義域を絞っている)。
- (1)式 $y=x^2-2x+k$ では、$f$ に代入されているのは $x$ なので、制限は $x\ge1$
- (2)式 $x=y^2-2y+k$ では、$f$ に代入されているのは $y$($x=f(y)$ の形)なので、制限は $y\ge1$
つまり「$\ge1$」という条件は、$f(\ \cdot\ )$ の $(\ \cdot\ )$ の中に入っている変数の方に付いてくる、と考えてください。(1)と(2)で $x,y$ の役割(入力か出力か)が入れ替わっているので、制限も一緒に入れ替わるのです。
図形的に見ると
$y=f^{-1}(x)$ のグラフは、$y=f(x)$ のグラフを直線 $y=x$ に関して対称移動したものでした。この対称移動は「$x$軸と$y$軸を入れ替える」操作と同じです。$y=f(x)$ ($x\ge1$) を $x,y$ を入れ替えて書き直すと $x=f(y)$ になりますが、このとき定義域の条件「代入する値は $1$ 以上」も一緒に $x$ から $y$ に移ります。だから $x=y^2-2y+k$ $(y\ge1)$ となるわけです。
補足:$x$ 側の制限は省略されている
厳密には、(2)式の $x$ にも「$f$ の値域=$f^{-1}$ の定義域」による制限($x\ge k-1$ 程度のもの)が本来付随します。ただし $k$ を含んでいて扱いにくいうえ、この解答の以降の議論($(x-y)(x+y-1)=0$ から $x=y$ を導く部分)では $y\ge1$ だけあれば十分なので、教科書はそれだけを明示しているのです。
まとめ:$y=f^{-1}(x)\iff x=f(y)$ という書き換えをした時点で、「$f$ に代入する文字」が $x$ から $y$ に変わっている。定義域 $\ge1$ は「$f$ に代入する文字」への制限だから、それに合わせて $x\ge1$ ではなく $y\ge1$ になる、ということです。
結論から言うと、その証明("増加関数なら共有点は $y=x$ 上にある"という一般論)を使う場合は、必ず証明が必要です。省略すると減点対象になり得ます。
なぜ証明が要るのか
「$f$ が増加関数のとき、$y=f(x)$ と $y=f^{-1}(x)$ の共有点はすべて $y=x$ 上にある」という事実は、有名ではあるが、公式として無条件に使ってよい定理ではありません。教科書(数学IIIの検定教科書や大半の参考書)で明示的に証明つきで扱われていない限り、記述式では「既知の事実」として引用せず、自分で示す必要があります。
つまり、あの証明ブロックは省略できる「おまけ」ではなく、論証の核心部分です。ここを飛ばして「共有点は $y=x$ 上にあるから」といきなり書くと、論理の飛躍として減点されます。
だからこそ青チャートは別の方針を取っている
実は、青チャートの解答が(1)(2)の連立方程式を立てて
$$(x-y)(x+y-1)=0$$
まで変形しているのは、まさにこの「$a=b$」を示す部分を、一般論(増加関数の性質)に頼らず、純粋な代数計算だけで済ませるためです。
- 私の方法:「$f$ が増加関数である」という性質から議論する → その一般論自体の証明が必要
- 青チャートの方法:具体的に $y-x=(x+y)(x-y)-2(x-y)$ を計算して因数分解し、$x\ge1,\ y\ge1$ から $x+y-1\ge1>0$ を示す → この計算自体が証明になっているので、追加の一般論は不要
つまり両者は「共有点が $y=x$ 上にある」ことを示すための別ルートであり、どちらを使うにせよ、そこに至る論証(=証明)は省略できません。青チャートの方が計算だけで完結し、かつこの問題の $f(x)=x^2-2x+k$ という具体形に特化しているぶん、記述量が少なく済んでいる、というだけの違いです。
まとめ
| 使う方法 | 必要な証明 |
|---|---|
| 「増加関数なら共有点は $y=x$ 上」という一般論 | その一般論自体をきちんと証明する必要あり(私が書いた $a<b\Rightarrow$ 矛盾、の部分) |
| 青チャート方式(連立方程式→因数分解) | 一般論は不要だが、$(x-y)(x+y-1)=0$ の導出と $x+y-1>0$ の確認が必須 |
記述式の答案としては、青チャートの方針の方が汎用の定理に頼らず自己完結しているぶん安全です。私が書いた証明を使う場合は、あの「$a\ne b$ と仮定して矛盾を導く」部分を省略せずフルで書く必要があります。
|
数学ノート |
動画作成用 数式表示 |





